イトウ質店ブログ

質屋の豆知識『質屋と小説 その4 山本周五郎』

名古屋の質屋イトウ質店のブログです。

本日は、『質屋と小説 その4 山本周五郎』です。

山本周五郎は、1903年(明治36年)6月22日生まれ、
1967年(昭和42年)2月14日に63歳で亡くなった、
昭和時代の小説家です。
本名は清水三十六(しみずさとむ)です。

「樅ノ木は残った」、「赤ひげ診療譚」などの傑作をはじめ、
数多くの作品を発表し、大衆文学の巨匠とも呼ばれ、
映画、ドラマ化された作品の数も大変多い作家です。
人間の心理を深く洞察し、市井に生きる名もなき人々を中心に描いています。

今回の山本周五郎の質屋との関わりは、作品ではなく、経歴とペンネームにあります。

山梨県北都留郡初狩村(現大月市)に生まれた周五郎は、
北豊島郡王子町(現東京都北区)、神奈川県横浜市と転居、
1916年(大正5年)に尋常小学校を卒業すると
東京の木挽町二丁目(現銀座二丁目)の質店、
山本周五郎商店に徒弟として住み込みで働き始めます。

1923年(大正12年)9月1日の関東大震災によって被災した山本周五郎商店は解散し、
帝国興信所(現帝国データバンク)やその子会社である日本魂社に転職し、
1926年(大正15年・昭和元年)に『文藝春秋』4月号に掲載された
『須磨寺附近』が文壇出世作となりますが、
山本周五郎商店店主の山本周五郎は、自らも酒落斎という雅号を持ち、
文芸にも大変理解を持っており、
周五郎が文壇デビューをして自立するまで、学校に通わせる等の支援を続けたのです。

周五郎は、直木賞史上唯一の授賞決定後の辞退者としても有名です
(第17回1943年『日本婦道記』)。
また毎日出版文化賞(1959年『樅の木は残った』)、
文藝春秋読者賞(1961年『青べか物語』)も辞退しています。

その彼の大衆文学・時代小説を主とした業績を讃えた山本周五郎賞が、
1988年より主催新潮文芸振興会、後援新潮社で設立されたのも面白いですね。
第1回(1988年)の受賞者は山田太一 、第2回(1989年)は吉本ばなな。
その後も、宮部みゆき、岩井志麻子 京極夏彦らが受賞しています。

『質屋と小説 その4 山本周五郎』でした。

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